緊急行動(アージェント・アピール)とは?

労働者からの要請に迅速に対応するために

緊急行動とは、衣料産業で発生した権利侵害を受けて労働者が外部の支援を要請した際に、迅速に対応するための措置です。1989年にクリーンクローゼスキャンペーンが創設されて以降、衣料やスポーツウェアを生産する労働者に対して、40の国で起こったおよそ450もの権利侵害事案を緊急行動と認定して、クリーンクローゼスキャンペーンの活動家が支援を行いました。

連帯の三角形

クリーンクローゼスキャンペーンは他の機関と連携しながら、企業などすべての関係者が現場の労働条件を改善するために必要な措置を取るよう圧力を掛けてきました。その目的を達成するために、「連帯の三角形」と呼ぶ戦略を採ってきました。それは、1) 生産が行われている国で、2) 生産された衣服が販売されている国々で、3) 生産された衣類のブランドが拠点を置いている国といった三箇所におけるキャンペーン活動を行うというものです。

 

国際的なキャンペーン活動を通じた労働条件の改善

クリーンクローゼスキャンペーンが緊急行動と判断し取り組んだ結果、労働条件が改善されたケースのほとんどは、その事案に関係する労働者だけでなく、他の工場や地域で働く労働者に対してもポジティブな波及効果があったことが確認されています。例えば、同じような権利侵害の被害を受けている労働者が、別の地域で闘っている労働者の姿や、行動の結果勝利した過去の事例を見て、自分たちも行動しようと改善に取り組んだというケースはたくさんあります。
国際的なキャンペーン活動が成功し労働者に補償がなされた例としては、2013年にアディダスがインドネシアのPTキゾーン(PT Kizone)で働く労働者に補償することを約束したという事案や、2015年にドイツのブランドであるキック(Kik)がパキスタンのアリエンタープライズ(Ali Enterprise)で起こった火災事故の被害者に対して515万ドルの補償金を支払ったというケースがあります。